退職金2,200万円。年金は月12万円。
持ち家もあり、借金もなし。
誰が見ても“順風満帆な老後”に見えます。
でも、実際にはそう簡単ではありません。
60歳で定年退職した田中さん(仮名・65歳)は、
わずか数年で貯蓄を半分以上失いました。
原因は「親の介護」と「年金の繰上げ受給」。
これ、他人事ではありません。
多くの50代・60代が同じ落とし穴に向かっています。
年金の繰上げ受給、あなたは理解して選んでいますか?
老齢年金は65歳からが原則ですが、60歳から前倒しで受け取ることも可能です。
ただし、1か月早めるごとに0.4%ずつ減額され、
60歳から受け取ると
最大で24〜30%減額されたまま一生続きます。
田中さんも「無収入が不安」という理由で60歳から受け取りを開始。
しかし、減額された年金はそのまま。
物価高が進み、想定外の介護費用が重なって、
5年後には貯金が半分以下になってしまいました。
つまり、「早くもらう」ことよりも、
“どんな計画で老後を乗り切るか”の方がはるかに重要なんです。
繰上げ受給が“悪い”わけではない。問題は「準備の有無」
ここで誤解してほしくないのは、
繰上げ受給=悪ではない、ということ。
60歳から年金をもらいながら、
・再雇用やパートで収入を確保する
といった準備があれば、むしろチャンスになります。
ですが、金融知識も行動もないまま退職するのは危険です。
銀行預金の金利は0.001%。お金を眠らせているだけでは、
インフレで実質的に「目減り」していくのが現実です。
老後資金を守りたければ、
・低コストのインデックス投資で長期運用する
・年金生活でも“資産に働かせる”習慣を持つ
この3つを意識するだけでも大きく変わります。
介護は「想定外」ではなく「想定内」にすべきリスク
介護費用は平均で月9万円、期間は約5年。
長期化すれば1,000万円を超えることも珍しくありません。
親が90歳を超えて元気に過ごしているのは素晴らしいことですが、
介護の現実を考えれば、早めの制度利用が必須です。
地域包括支援センターに相談すれば、
予算に合った介護サービスや補助金の情報をもらえます。
「子供が親を支えるのは当然」という考えにこだわりすぎると、
共倒れになりかねません。
制度を使うことは“親不孝”ではなく、“賢い選択”です。
結論:幸せは自分の心が決める
老後は「お金」だけでなく、「心の在り方」も問われます。
誰かのために生きて幸せを感じる人もいれば、
自分の人生を守ることに価値を感じる人もいる。
どちらが正解ということはありません。
大事なのは、自分の心が納得できる生き方を選ぶことです。
ただ一つ確かなのは、
「金融知識と準備の差」が、
これからの老後を大きく分けるということ。
他人任せにせず、自分で考え、学び、備える。
それが、後悔しない人生をつくる第一歩です。


