地震や台風などの災害はいつ起きるかわかりません。いざという時のために日頃から備えておくことが重要です。
今回は、災害時に知って起きたい「水に関する知識」について説明していきます。
この記事を読んで、水に対する正しい知識と対応策を身につけておきましょう。
【備えて安心!災害時に関する正しい水の知識とは?】
水は人が生きていくうえで必要不可欠なものになります。いざという時のために飲料水や生活用水を備えておくことが大切です。
ここでは、水を備えるために知っておくと便利な知識を紹介します。
1日に必要な水の量やライフラインの復旧にかかる時間を理解しておきましょう。
命をつなぐために!飲料水はどの位備えておくべき?
成人の身体は、水分が約60%を占めているといわれています。
水は、「代謝」「運搬」「体温調節」といった人の生命維持に重要な役割があります。
人は、水を1滴も飲まないでいると2日~3日で死に至る危険性があるといわれています。身体から水分が2%なくなるだけでめまいや吐き気がでます。
更に10%損失すると痙攣や失神を起こし、20%以上損失すると生命を維持する機能が限界を迎えることも少なくありません。
身体から水が | 2%損失 | めまい・吐き気 |
身体から水が | 10%損失 | 痙攣・失神 |
身体から水が | 20%損失 | 生命を維持する機能が限界 |
食べ物にも水分は含まれていますが、飲料水の確保は命をつなぐためにも重要です。
1人1日あたり約3リットルは確保しておくことをオススメします。
飲料水は、最低3日分は備えておきたいものです。大規模災害が発生すると1週間分の備蓄が必要になることもあります。
自宅外に避難することもあるので、非常持ち出し袋にも飲料水は入れておくことを強くオススメします。
水はどの位もつの?ミネラルウォーターの賞味期限
災害対策で水を備えるときに知っておきたい知識が水の賞味期限です。
ペットボトルのミネラルウォーターには賞味期限が定められています。
ペットボトルのミネラルウォーターの賞味期限は、2年~15年です。仮に賞味期限を過ぎてしまっても未開封であれば、品質が大きく変わるわけではありません。
ペットボトルの水は、加熱やろ過によって雑菌を取り除いています。未開封の状態であれば、水の状態は保たれることになります。
ペットボトルの水に賞味期限が定められているのは、「計量法」が理由のひとつです。
表示されている容量と実際の容量に誤差がある商品を販売すると軽量法違反になります。
ペットボトルの容器には、通気性があるので少しずつですが水が蒸発して容量が減っていく構造になっています。
ペットボトルの水は未開封であれば、賞味期限を過ぎても腐っているという意味ではありません。
飲み水にするのが不安であれば、トイレなど他の生活用水として活用しましょう。
いつから水道は使えるの?水道の復旧までにかかる期間
水は、日々の生活の中でなくてはならない存在です。生活を続けるには、ライフラインの早急な復旧が望まれます。
厚生労働省は、「東日本大震災水道施設被害状況調査報告書(平成23年度災害査定資料整理版)」を公表しました。
この報告書によると津波の被害を受けた地域以外で復旧がほぼ完了したのが9月末と記載されています。およそ6ヵ月の間復旧作業がかかっている地域が存在することがわかります。
東日本大震災のときは、264の自治体で断水が発生しました。被害が少なかった地域は1ヵ月以内に復旧していますが、内陸部で6月末までで太平洋沿岸部は9月末まで復旧できませんでした。
さらに総務省は、「平成29年版 情報通信白書」で熊本地震のライフライン被害状況と復旧までにかかった期間を公表しています。2016年4月14日に発生した熊本地震は、一部地域の断水が7月末まで続いていました。
熊本地震のときは、電気が約1週間でガスは約2週間で復旧しています。水道は、大雨の影響もあって復旧に時間がかかっていることがわかっています。
水道は、電気に比べると復旧までの日数を要する傾向があります。電気と異なり水道や都市ガスは地下に管があるので復旧が遅れてしまいます。
水道は、1個所でも漏水があると復旧できません。復旧に時間のかかる地域はエリア内のどこかで漏水している可能性があるので水道管全てを確認する必要があります。
【間違った使用方法とは?正しい対応策を知っておこう!】
いざという時のために水を備えることは大切ですが、同時に注意も必要です。
備える方法を間違えると悪い結果になることも考えられます。
ここでは、正しい水の保存方法について説明していきます。
トイレなども生活に欠かせませんので、正しい知識を身につけておくことをオススメします。
水を腐らせないために!水道水の正しい保存方法
水をたくさん保存するときに便利なグッズがポリタンクです。日が当たらない風通しの良い場所であれば、数日間の水道水が保管可能になります。
ポリタンクで保存をする水は、必ず水道水です。浄水器の水は良さそうですが、塩素が取り除かれて雑菌が繁殖しやすい状態なので保存には適していません。
保存の際は、空気に触れないようにすることが大切です。
容器に空気が入らないようにするには水をギリギリまで入れてから蓋をするのがポイントになります。
水道水が保存に向いているといっても塩素が少なくなると雑菌が繁殖しやすい状態になります。保存期間の目安は、3日~5日程度です。
保存期間を過ぎてしまった水も生活用水に利用することができることもあります。
こまめに水を取り替えれば、生活用水として普通に利用することができるので習慣化させることをオススメします。
お風呂にお湯を溜めるメリットとデメリット
災害に備えてお風呂に水を溜めている方も多いようです。一般的な浴槽だと約200リットルのお湯や水を溜めることができます。
確かに浴槽に水を溜めておけばいざというときに重宝することも考えられます。一方で、メリットばかりではないのでデメリットも理解しておく必要があります。
お風呂に水を溜めるのは、思わぬ事故につながる危険性が高いので小さなお子さんがいる家庭にはオススメできません。
消費者庁は、2017年10月に「子どもの事故の現状について」を公表しました。この報告書では、2016年の子ども(14歳以下)の不慮による事故死の原因を年齢別に分析しています。
浴槽内の溺水死は、1歳以上の子どもの不慮の事故死原因の上位に入っています。
特に小さなお子さんは、お湯が残った浴槽への転落死の危険性が高くなります。
また、浴槽の状態に対しても雑菌の繁殖による「カビ」などの危険性を考えるとデメリットもあります。
お風呂にお湯を溜めるのであれば、カビ対策なども考える必要があります。
災害時のトイレはどうする?正しい対応策
地震などで断水すると気になるのがトイレです。お風呂の水などを使用することを推奨する情報も多くあると思います。
確かに停電などで断水した場合は、お風呂の水を使用して汚物を流すのは有効な方法です。ところが地震で断水が発生した場合は、汚物をお風呂の水で流すのは問題点もあります。
地震発生後に断水が起きる原因に、排水管の破損が考えられます。一軒家は、無理に水を流し続けると次第に水の出口がなくなってしまい汚物などと一緒にあふれ出す危険性があります。
集合住宅は、下の階層で大きな被害が予想されます。水漏れや汚物があふれてしまう原因になります。
水道管に汚物が溜ると衛生面も悪い状態になります。汚物は携帯トイレや新聞紙またはおむつなどを活用して汚物を溜めないようにする必要があります。
携帯トイレは、洋式便座にセットして使用します。
もし携帯トイレがない場合は、45リットルのゴミ袋と新聞紙やおむつなどを利用することで代用が可能です。
大災害時のトイレで思い浮かぶのは、「仮設トイレ」です。名古屋大学エコトピア科学研究所と日本トイレ研究所がおこなった調査によると、東日本大震災のときに仮設トイレが設置された自治体は、約34%でした。
一方で、自治体のうち14%は仮設トイレが設置されるまでに1ヵ月以上かかっている地域もありました。仮設トイレが必ずしもすぐに利用できるとは言えないのが現状です。
トイレのない生活は、衛生面だけでなく健康管理や精神的にも悪影響があります。近年では、マンホールの上に設置するマンホールトイレも広まってきています。
【まとめ】
今回は、災害に備えておきたい水の知識について説明をしました。
ライフラインの復旧や仮設トイレの設置には、時間がかかるので自分である程度の準備をしておく必要があります。
一般的に推奨されている水の備え方によっては、家庭環境に適していない方法もあります。
自分の生活環境に合わせて無理のない対策をとることをオススメします。