老後の生活費は、夫婦で役2,000万円不足するといわれています。
これまで一生懸命働いて定年を迎えた方は、できるだけ今までの生活水準を維持したいのではないでしょうか?
将来必要な預金の具体的な金額がわからないと不安が大きくなります。
毎月どの程度積み立てていけば良いのかもわからないと思います。
今回は、老後に必要な生活費と毎月の積立金について説明していきます。
この記事とシミュレーションを活用すれば、具体的なイメージが持てるようになります。
【老後の生活に必要な金額は?生活水準と収入を比較しよう】
総務省統計局で国民の家計状況を把握するために定期的に実施しているのが「家計調査」です。
家計調査の結果をまとめた「家計調査年報」には、世帯主の年齢階級別に1世帯1ヵ月あたりの消費支出が掲載されています。
老後に必要な生活費は、シミュレーションで出すことも可能です。
具体的に老後の生活をイメージできるように、現在の高齢者の生活費を見ていきましょう。
老後の夫婦二人暮らしに必要な生活費はいくら?
「世帯人員・世帯主の年齢階級別 1世帯当たり1ヵ月間の収入と支出(2人以上の世帯)」では、2人以上の世帯を対象に世帯主の年齢階級別に消費支出の内訳を示しています。
世帯主が、65歳以上で世帯人員が2人以上の世帯の支出は以下の通りです。
持ち家率 | 94.2% |
消費支出合計 | 247,701円 |
食料 | 70,058円 |
住居 | 14,853円 |
光熱・水道 | 21,635円 |
家具・家事用品 | 10,273円 |
被服及び履物 | 7,465円 |
保健医療 | 14,995円 |
交通・通信 | 28,524円 |
教育 | 458円 |
教養娯楽 | 24,541円 |
その他 | 54,898円 |
夫婦共に現在65歳で90歳まで生きるとすると、25年(300か月)分のお金が必要になります。
1か月あたりの消費支出の金額が約25万円で老後の期間が25年とすると、
老後に必要なお金は約7,500万円です。
賃貸は、家賃がかかるので持ち家に比べると住居費が高くなります。
住んでいる環境や物価も異なるので注意が必要です。
老後の一人暮らしに必要な生活費はどのくらいなの?
「男女,年齢階級別1世帯当たり 1か月間の収入と支出(単身世帯)」では単身世帯を対象に、年齢階級別に消費支出の内訳を出しています。
65歳以上の単身世帯の消費支出の平均は、以下の通りです。
持ち家率 | 81.9% |
消費支出合計 | 146,594円 |
食料 | 36,332円 |
住居 | 14,256円 |
光熱・水道 | 12,915円 |
被服及び履物 | 4,358円 |
保健医療 | 8,100円 |
交通・通信 | 14,103円 |
教育 | 0円 |
教養娯楽 | 17,459円 |
その他 | 33,072円 |
65歳で定年を迎えて90歳まで生きると老後の期間は25年(300ヵ月)になります。
1ヵ月あたりの消費支出が約15万円で老後の期間が25年だと老後に必要なお金は、約4,500万円です。
65歳以上の単身世帯でもお金をかける項目は、男女で異なります。
女性は「被服や履物」など美容関係にかけるお金が多く、男性は「教養娯楽」や自動車関係にかけるお金が多いです。
単身世帯は、特にどの部分にお金をかけるかで生活費が異なります。
老後の過ごし方は、事前にイメージしてビジョン化することが大切です。
年金は今後減る可能性が高い?貯金が大切な理由
平成31年4月の老齢基礎年金の受給額は、年間780,100円です。
自営業や専業主婦など国民年金のみ加入していた人の1ヵ月あたりの受給額は、約65,000円になります。
厚生労働省年金局が2018年(平成30)年12月に公表した「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」を見ると、厚生年金保険受給者の老齢年金受給額は、1ヵ月あたり約147,051円です。2017(平成29)年の老齢厚生年金の総額は実に18兆円を超えています。
2017年の高齢者夫婦の消費支出の平均は、247,701円でした。
1ヵ月あたりの年金受給額が、20万円で計算すると年金だけでは約5万円不足する計算になります。
さらに少子高齢化が進んで、20歳~60歳までの現役世代の人数が減少すると保険料の全体納付額が少なくなります。
この結果で考えられることは、受け取る側と支える側のバランスが崩れることです。
つまり現役世代と高齢者の双方にかかる負担が大きくなる可能性が高くなると考えられます。
今後も少子高齢化が進行することが予想されています。受け取れる年金の額は、さらに少なくなる可能性が高いので、預貯金などで補うことがポイントになります。
【将来に備えるために!シミュレーションを使ってみよう】
老後も安心して生活するには計画的な貯金が大切です。
貯金の目安を立てる方法は、目標金額から決める方法と毎月の積立金から決める方法があります。
預金額を決める方法として有効な手段がシミュレーションの活用です。
シミュレーションを使って、無理のない将来を考えることをオススメします。
目標額から毎月必要な貯金額を出してみよう
ある程度目標額が決まっている人は、貯金できる期間から毎月の貯金額を出す方法がオススメです。シミュレーションに目標積立金と積み立て期間を入力すれば、毎月どの程度貯蓄すれば良いのかが表示されます。
老後25年間の生活費は、夫婦2人暮らしだと約7,500万円です。
単身世帯は、約4,500万円になると考えられています。
国民基礎年金の1ヵ月あたりの受給額は、2019年4月時点で約65,000円でした。
25年で1人に約1,950万円で2人に約3,900万円支給される計算です。
例えば、夫婦2人暮らしで年金の不足分3,600万円を65歳までの貯金目標とします。
夫婦2人とも35歳だと積立期間は30年間です。
シミュレーションに目標積立金額(円)と積み立て期間(年・月)を入力します。
3,600万円を30年(360ヵ月)で貯金するには、毎月約10万円積み立てていく必要があるとわかります。
消費支出の内訳を入力して目標積み立て金を出してから積み立て期間を入力して毎月必要な貯金額を算出するシミュレーションもあります。
ここで重要なことは、目標の設定ばかりに注目すると現状の生活状況や今後の収入が軽視されることもあります。
個々の生活スタイルを想定して計算することをオススメします。
毎月の積立金額から数年後の貯金額を出してみよう
貯金に回せるお金には限りがあります。現在、積み立てているお金が数年後にどのくらいになるかを知ることも大切です。
厚生労働省が公表した2017(平成29)年「家計調査年報」の「1世帯あたり1ヵ月間の収入と支出(総世帯のうち勤労者世帯)」によると世帯主の平均年齢は47.1歳でした。
勤労者世帯の1ヵ月あたりの実収入平均は、469,722円です。
実収入から税金や社会保証料などを引いた「可処分所得」の平均は、382,434円になっています。
預貯金純増は、78,126円で可処分所得に占める貯蓄純増(預貯金純増と保険純増を合わせた額)の割合を示した平均貯蓄率は24.8%です。
仮に夫婦2人暮らしで月に8万円ずつ積み立てていくと仮定します。
夫婦2人とも35歳で65歳まで積み立てていくと30年の積み立て期間になります。
シミュレーションに毎月の積立金(円)と積立期間(年・月)を入力します。こ
の例で毎月8万円ずつ積み立てていけば、30年後の積立金額は2,880万円になります。
実際には、家族構成や利率の計算を考える必要があります。
個々の家庭によって異なる結果になるので慎重に対応することをオススメします。
シミュレーションは定期的におこなうのが理想!
シミュレーションは、1度おこなって終了ではありません。
収入や支出は、常時変わるので定期的に見直す必要があります。
仕事の収入増減はもちろんですが、子どもの進学時は収支バランスの検討が必要な時期です。
その都度これまでの流れをもとに再度貯蓄に回せる金額を算出する必要があります。
これまでの予定額を大きく下回っている場合は、無理な計画をしていたことが予想できます。
子どもの大学進学時などは、奨学金や教育ローンなどを考える必要もあります。
貯蓄も節約と同じで、基本的に無理のない計画を立てることが成功のポイントです。
定期的に修正をしながら前向きに考えることがモチベーションの維持につながります。
【まとめ】
今回は、老後の生活費と目標積立金について説明をしてきました。
貯蓄の方法は、先に目標額を決める方法と毎月の積立金を決める方法があります。
貯蓄の目標額設定は、シミュレーションで求めることができます。
多くの可能性を想定してできるだけ無理のなり計画を考える必要があります。