特別養護老人ホーム(特養)は「公的施設だから安い」と思われがちですが、
実際は年金だけでは足りないケースも多くあります。
この記事では、厚生労働省の費用データをもとに、
「年金+貯金で介護費用が何年持つのか?」をやさしくシミュレーション。
さらに、「補足給付(限度額認定)」を使うとどう変わるのかも比較します。
特養の費用の目安
項目 | 多床室(4人部屋) | 個室(ユニット型) |
---|---|---|
介護サービス費 (1割負担) |
約2.6万円 | 約2.9万円 |
居住費 | 約2.7万円 | 約6.2万円 |
食費 | 約4.3万円 | 約4.3万円 |
日用品など | 約1万円 | 約1万円 |
合計 | 約12万円 | 約18万円 |
💡 個室は快適ですが、毎月3〜6万円ほど費用が上がります。
補足給付なしの場合のシミュレーション
前提:
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年金:10万円/13万円/15万円
-
多床室:12万円
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個室:18万円
-
月の赤字 = 支出 − 年金
年金(月) | 月赤字 | 貯金500万 | 貯金800万 | 貯金1,000万 |
---|---|---|---|---|
10万円 (多床室) |
2万円 | 約20年10か月 | 約33年4か月 | 約41年8か月 |
13万円 (多床室) |
±0円 | 減らない | 減らない | 減らない |
10万円 (個室) |
8万円 | 約5年2か月 | 約8年4か月 | 約10年5か月 |
13万円 (個室) |
5万円 | 約8年4か月 | 約13年4か月 | 約16年8か月 |
15万円 (個室) |
3万円 | 約13年10か月 | 約22年2か月 | 約27年9か月 |
年金13万円+貯金500万円で約8年、1,000万円でも16年。
多床室なら年金13万円で赤字ゼロ、個室だと貯金を削る生活になります。
補足給付(限度額認定)ありの場合
所得や資産が一定以下の人は、
「介護保険負担限度額認定制度(補足給付)」を申請できます。
食費・居住費が軽減され、月の支出が約12万円前後まで下がります。
年金 (月) |
月赤字 | 貯金500万 | 貯金800万 | 貯金1,000万 |
---|---|---|---|---|
10万円 | 2万円 | 約20年10か月 | 約33年4か月 | 約41年8か月 |
13万円 | −1万円 (黒字) |
減らない | 減らない | 減らない |
15万円 | −3万円 (黒字) |
年+36万円増 | 年+36万円増 | 年+36万円増 |
💡 補足給付を受けると、年金13万円で黒字化。
年金10万円でも貯金500万円あれば20年以上持ちます。
比較まとめ
区分 | 月の支出 | 年金13万円での結果 |
---|---|---|
補足給付なし・個室 | 約18万円 | 毎月▲5万円(貯金500万で約8年) |
補足給付あり・個室 | 約12万円 | ±0円〜黒字(貯金減らず) |
補足給付あり・多床室 | 約11万円 | 黒字(貯金増加) |
💡 制度を知るだけで、老後資金の“寿命”が5倍以上変わることも。
補足給付は“申請しないともらえない”制度なので注意が必要です。
計算式(シンプル版)
まとめ
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多床室なら年金13万円でも赤字ゼロ
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個室は快適だが、補足給付なしでは赤字が続く
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補足給付を申請すれば、年金だけで生活可能なケースも
「制度を知ることが、家計を守る第一歩」
介護費用は“節約”より“理解”が大切。
まずは、自分や家族の年金+貯金で何年持つかを試算してみましょう。