「厚生年金って、毎月かなり引かれているけど、実際にどれくらい戻ってくるんだろう?」
多くの人が一度は疑問に思うことだと思います。
世間に出ている年金シミュレーションは、多くが「本人が払った分」だけで計算されています。
しかし実際には、会社も同じ額を負担しています。
つまり「本当の支払い総額」は、その倍。
今回はその 総額ベース でシミュレーションしてみました。
厚生年金の仕組みをおさらい
-
主に会社員・公務員が加入
-
保険料率は一律 18.3%(会社と折半で9.15%ずつ)
-
原則65歳から受給(繰上げ60歳〜、繰下げ75歳まで調整可能)
-
老齢年金だけでなく、障害年金・遺族年金の役割もある
つまり「老後だけではなく、現役世代のリスクも支える仕組み」です。
実際にどれだけ払っているのか
私の給与明細を見ると、
-
本人負担:51,240円/月
-
会社負担:51,240円/月
-
合計:102,480円/月
これを30年間続けると、
👉 36,892,800円(約3,700万円) を納める計算になります。
額面ベースのシミュレーション
受給開始 | 年間受給額 | 元が取れる年齢 (本人負担のみ) |
元が取れる年齢 (総額ベース) |
---|---|---|---|
65歳から満額 (年216万円) |
216万円 | 73歳 (約8年) |
82歳 (約17年) |
60歳から繰上げ (年164万円) |
164万円 | 71歳 (約11年) |
82.5歳 (約22.5年) |
👉 額面ベースでは「82歳まで生きればトントン」という結果になりました。
手取りベースで考えると…?
年金は額面そのままが入るわけではなく、税金や保険料が差し引かれます。
-
所得税・住民税
-
健康保険料(後期高齢者医療制度)
-
介護保険料
これらを考慮すると👇
受給開始 | 額面 | 控除 | 手取り | 元が取れる年齢 (総額ベース) |
---|---|---|---|---|
65歳から満額 | 216万円 | ▲35万円 | 約181万円 | 84歳前後 |
60歳から繰上げ | 164万円 | ▲30万円 | 約134万円 | 85歳前後 |
👉 「元を取る年齢」はさらに遅れ、84〜85歳 になってしまいます。
じゃあ、どう備えればいいの?
厚生年金はあくまで「最低限の土台」。
安心して暮らすには、自分で「上乗せする仕組み」を作る必要があります。
① iDeCo(イデコ)
-
毎月の掛金が 全額所得控除 → 税金が安くなる
-
運用益も非課税
-
60歳まで引き出せないが、老後資金を強制的に準備できる
👉 未来の自分に“仕送り”する口座。
② 個人年金保険
-
保険会社に積み立てて、将来「年金のように」受け取れる
-
条件次第で生命保険料控除もあり
-
ただし途中解約すると損の可能性あり
👉 定期預金に“保険”を足したイメージ。
③ NISA(ニーサ)
-
株や投資信託の利益が非課税
-
上限1,800万円まで、非課税期間は無期限
-
長期投資に最適
👉 投資用の“特別ボーナス口座”。
④ その他の備え方
-
少額でも「つみたて投資」をコツコツ
-
健康への投資(医療費や介護費用の節約にも)
-
定年後の働き方(少しの収入でも安心感が違う)
結論
-
厚生年金だけでは 82歳以上まで生きないと元が取れない
-
手取りで考えると さらに85歳前後 が損益分岐点
-
だからこそ iDeCo・個人年金保険・NISA などを組み合わせて「自分年金」を作る必要がある
-
そして「健康」と「働き方」も大切な備えになる
👉 ポイントは 「厚生年金は土台。自分で柱を足して家を完成させる」 という考え方です。