「ねんきん定期便」に書かれた“額面”=そのまま振り込まれる…ではありません。
実際は、所得税・住民税・国民健康保険料・介護保険料が差し引かれ、口座に入るのは手取り。
ここを勘違いすると、老後の家計が一気に苦しくなります。
まずは結論(ここだけ覚えればOK)
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年金は額面でもらえない。
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手取りは「額面から 税金+医療保険+介護保険 を引いたもの」。
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目安として、額面100〜150万円帯=約91%、
**200万円帯=約88〜89%**になりやすい。
年金の手取り
① 額面100万円
→ 手取り91万円(約月7.6万円)
差し引かれる合計:9万円
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所得税:0万円
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住民税:0万円
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国民健康保険料:6万円
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介護保険料:3万円
② 額面150万円
→ 手取り137万円(約月11.4万円)(140万・160万の中間推定)
差し引かれる合計:13万円
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所得税:0万円
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住民税:5,000円
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国民健康保険料:6万円
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介護保険料:6.5万円
③ 額面200万円
→ 手取り177万円(約月14.8万円)
差し引かれる合計:23万円
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所得税:1万円
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住民税:3万円
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国民健康保険料:10万円
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介護保険料:8万円
目安:手取りは額面の約85〜91%(添付表ベース)。実額は自治体・非課税/軽減の有無で上下。今後は医療・介護の見直しで差引が増えやすい点にも注意。
なぜ手取りが額面より少ないのか
① 所得税
公的年金等控除のあとに課税。金額が小さくてもゼロとは限らない。
② 住民税
均等割+所得割。非課税ラインを超えると負担発生。
③ 国民健康保険料(75歳未満)
所得割+均等割・平等割(最低負担)が基本。
収入が低くてもゼロになりにくい。
④ 介護保険料(65歳以上)
所得段階で年額が決定。
こちらも最低負担があり、年々上がりやすい科目。
結果:額面が同じでも地域や世帯で差が出る/額面が増えるほど差し引き合計も増え、手取り率が低下
(100万≒91% → 200万≒88.6%)。
これから“増えやすい”負担(超要点)
医療・介護まわり
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保険料率や均等割の見直し
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高齢化に伴う介護保険料の段階改定
家計に上乗せされる主な負担
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子ども・子育て支援金(2026年〜/28年まで段階的に増額)
→ 税金ではなく医療保険料に上乗せ。
**月数百円〜**の負担を想定(加入保険や所得で変動)。
こども家庭庁・厚労省資料より。 CFA Japan+1 -
森林環境税(2024年〜実施中)
→ 住民税に年1,000円上乗せ。
住民税が非課税の人はこの税も非課税。
神市公式サイト -
医療・介護の保険料改定(定期見直し)
→ 高齢化で所得割・均等割の引上げが続く地域あり。
年1万円超の増となるケースも。
愛知広域ネット
ポイント:名前は違っても家計の固定費がジワっと増える設計。老後設計は“額面”ではなく**「手取り」ベースで。支出は固定費の圧縮**、収入は新NISAなどの非課税枠を活用して“受け取りを減らされにくい形”にするのが得策。
住民税「非課税世帯」は恩恵大、でも貯えは必須
恩恵
国保・介護の軽減、医療費の自己負担上限優遇、自治体の減免などが受けやすい。
注意点
可処分所得が小さく、突発費(医療・介護・住まい・家電・冠婚葬祭)に弱い。
→ 生活防衛資金(最低6〜12か月)を先に確保。
そのうえで新NISAの積立を。
まとめ
「額面ではなく“手取り”で老後を設計する」。
まずは自分の額面に、今回の横並び早見表を当てるだけでOK。
数字が見えると、やるべきこと(固定費見直し・控除の使い分け・新NISA)がシンプルに見えてきます。