2024年8月、新NISAを利用して積立投資を始めたばかりの多くの投資家にとって、初めての大きな試練が訪れました。
日経平均株価は2日間で6668円も急落し、米国市場も同様に大幅な下落を経験。為替の急激な円高も重なり、多くの人が驚きと不安に駆られたことでしょう。
しかし、こうした市場の変動こそ、投資初心者として冷静な判断と行動が求められます。
暴落時にやってはいけないこと
NISAの資産を焦って売却するリスク
例えば、S&P500に連動するインデックスファンド「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」を持っているとしましょう。
7月31日の基準価額が29,851円だったのが、8月6日には27,091円まで急落。
2,700円以上の下落に驚き、売却を考えた方もいるかもしれません。
しかし、ここで売却してしまうと、その後の市場回復による利益を得るチャンスを逃してしまいます。
実際に、過去の暴落事例を見ると、リーマンショックやコロナショックといった大きな下落の後も、数年以内に市場は回復し、それ以前の水準を上回っています。
例えば、リーマンショック後にS&P500に積立投資を続けていた人は、最終的に資産が4倍以上に増えています。
リーマンショック後の資産推移
2008年9月から毎月1万円をS&P500に投資していた場合、2024年7月には資産総額が約829万円に達しています。
積立元本が191万円だったことを考えると、この16年で資産が4倍以上に増えた計算です。
暴落時に売却していたら、このような成果は得られなかったでしょう。
積立投資を中止せず続けるべき理由
積立投資の強みは、ドルコスト平均法にあります。
市場が下落している時にこそ、定期的に一定額を投資することで、より多くの資産を安く買い増すことができます。
これにより、価格が回復した際には、より大きな利益を得る可能性が高まります。
コロナショック後のリカバリー
2020年2月、コロナショックによる市場の急落で、多くの投資家が不安を抱きました。
しかし、積立投資を続けた結果、2022年末までには資産が大幅に回復し、多くの投資信託はコロナ前の水準を超えるリターンを実現しました。
暴落時に投資を継続することが、長期的な資産形成において重要な役割を果たすのです。
暴落を乗り越えるための具体的な対策
無リスク資産とリスク資産のバランス調整
暴落時でも冷静でいるためには、資産全体のバランスを適切に管理することが重要です。
生活費や緊急時の資金は、無リスク資産(預貯金や個人向け国債)として確保し、それ以外の資産をリスク資産(株式や投資信託)として運用するのが基本です。
具体例: 年齢別の資産配分
40代の方が総資産1,000万円を持っている場合、無リスク資産、リスク資産、そして現金の配分は以下のように考えると良いと思います。
- 現金比率:
生活費の6ヶ月分(200万円) - 無リスク資産:※
総資産の40%(400万円)
個人向け国債や定期預金などに配分 - リスク資産:
残りの60%(600万円)
株式・投資信託などのリスク資産に投資
※具体的には、例えば無リスク資産として200万円を現金で保有し、200万円を個人向け国債に投資します。
そして、リスク資産として600万円を、株式やインデックスファンドに分散投資します。
こうすることで、暴落時にも必要な現金は確保され、長期的な投資を続ける余裕が生まれます。
年齢に応じた無リスク資産とリスク資産のバランス
- 40歳の場合:
無リスク資産40%
リスク資産 60% - 50歳の場合:
無リスク資産50%
リスク資産 50%
例えば、50代の方が同じく総資産1,000万円を持っている場合は、無リスク資産500万円、リスク資産500万円にすることで、リスクを抑えつつ、必要な資金を確保できます。
リスク許容度に基づくポートフォリオの見直し
今回の暴落で精神的に大きな負担を感じた方は、投資している資産のリスクを見直す必要があるかもしれません。
全世界株式インデックスファンドや米国株型インデックスファンドはリスクが高いため、バランス型ファンドや債券型ファンドに一部資産を移すことで、リスクを分散することができます。
具体例: バランス型ファンドの活用
「ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)」は、国内外の株式と債券に分散投資することで、リスクを抑えながらも安定したリターンを目指すファンドです。
5年間のリターンは9.35%、リスクは10.40%と、株式に比べてリスクを大幅に抑えています。
精神的な負担を軽減するためにも、こうしたバランス型ファンドをポートフォリオに加えることを検討しましょう。
まとめ
暴落は投資初心者にとって避けられない試練ですが、長期的な視点で考え、冷静な行動を取ることで、資産を守り、増やすことが可能です。
無リスク資産とリスク資産のバランスを整え、積立投資を続けることで、暴落をチャンスに変え、安定した資産形成を目指しましょう。