資産運用を始める初心者の人に、「インデックス型投資信託」の「長期運用」を推奨する理由は、過去の相場サイクルによる考え方です。
株価は上下を繰り返しながら右肩上がりになっています。
ここでは、株式投資初心者の人に相場サイクルの基礎知識を丁寧に解説していきます。
株式市場に存在する相場サイクルを理解すれば、長期運用に役立つはずです。
【株式市場に存在する4つの相場サイクルを徹底解説!】
株式市場は予想ができないと言われている一方で株式市場全体を長期で見ると4つのサイクルを繰り返していることがわかります。
資産運用初心者に長期分散投資が推奨される理由もこの相場サイクルが影響しています。
ここでは株式市場に存在する相場サイクルについて説明をしていきます。
株式投資を長期でおこなうことが推奨される理由を理解できる内容なので、今後の資産運用に役立ててほしいと思います。
株式市場に存在する4つの相場サイクルとは?
株式市場はランダムに動いているようで、ある程度決まったサイクルが存在します。
株式市場は、
「金融相場」
「業績相場」
「逆金融相場」
「逆業績相場」
と呼ばれる4つのサイクルからなりたっています。
<金融相場>
<業績相場>
<逆金融相場>
<逆業績相場>
4つの相場サイクルの関係性を理解しよう!
金融相場、業績相場、逆金融相場、逆業績相場は以下のようなサイクルになっています。
まずはそれぞれの関係性を理解してください。
金融相場 → 業績相場
↑ ↓
逆金融相場 ← 逆業績相場
基本的にこの4つのサイクルになりますが、実際には以下のようなサイクルになりますので、一応掲載しておきます。
「業績相場」→「逆金融相場」→
中間反発 → 「逆業績相場」
中間反落のときは、株価が下落します。
一方中間反発のときには、株価が上昇する傾向があります。
中間反落や中間反発は必ず起こるわけではありませんが、起こりやすい状況であることは間違いありません。
4つの相場サイクルと景気の関係性!
4つの相場のサイクルを簡単に説明しましたが、正直「なんとなくわかった」という感想の方が多いと思います。
相場サイクルを理解することが株式投資で有利になることは間違いありませんが、曖昧な状態はあまりオススメできません。
4つの相場を具体的に考えてみると、2020年に新型コロナウイルスの影響で世界の経済状況は悪化しました。
このときに各国で金融緩和をおこないましたので、この時期が金融相場だと考えられます。
事実日本国内でも2020年に投資ブームが本格化して、多くの投資信託や個別株が好成績をあげました。
その後は、株価下落後に上昇相場に移っていますので、ここが業績相場にあたります。
2022年3月以降は金融政策で利上げに動いたので、逆金融相場になりました。
現在は株価の反発と下落を繰り返している状態なので、中間反発から逆業績相場への移行中と予測できます。
あくまでも、相場サイクル的に考えている内容なので100%ではありませんが、ある程度の予測は可能なのではないでしょうか?
【金融相場とは?金融相場の基本知識と株式状況】
株式相場にある4つの相場サイクルのひとつ金融相場について説明をしていきます。
金融相場の基本はもちろんですが、実際の株式で人気のある銘柄についても注目していきます。
金融相場とは?
すでに説明はしていますが、金融相場についてもう1度解説をしていきます。
金融相場は、不景気のときに金融緩和をして株価に上昇がみられる時期をさします。
金融相場の株価動向と政策
金融相場のときは金利が安くなるので、企業は業績回復や設備投資を積極的に開始できるチャンスになります。
その影響もあって株価は上昇することが期待できます。
金融相場のとき
株価 | ↑ |
金利 | ↓ |
金融相場で人気のある業種とは?
金融相場のときに株式市場で人気のある業種や銘柄は、グロース銘柄に人気が集まります。
「グロース株」とは「成長株」のことで、今後の株価上昇に期待が持てる企業の銘柄をさします。
以下に代表的な業種をいくつか挙げてみます。
- テクノロジー業界:
近年、人気が高まっているテクノロジー業界は、新しいビジネスモデルやデジタル技術の活用により、高い成長性が期待されています。 - 医療・バイオテクノロジー業界:
高齢化社会に伴い、医療や健康に関する需要が高まっており、バイオテクノロジーの発展により、新しい治療法や薬剤の開発が進んでいます。 - エネルギー・環境業界:
世界的な温暖化問題に対応するため、再生可能エネルギーへの注目が高まっており、また、省エネルギーや環境対策なども重要なテーマとなっています。 - 金融・保険業界:
金融相場が盛り上がると、金融・保険業界の株価も上昇しやすくなる傾向があります。
「金利の動向に敏感な業種」が人気になる傾向があります。
不動産、金融、証券などをはじめ鉄鋼、化学などのジャンルにも注目したいところです。
金融相場のときは株価の上昇に期待はできますが、PERも上昇するので株価が割高になってしまう傾向があります。
一方で大きな利益を上げるチャンスでもあるので、余剰資金をうまく利用することをオススメします。
【業績相場とは?業績相場の基本知識と株式状況】
株式相場にある4つの相場サイクルのひとつ「業績相場」について説明します。
業績相場の基本を中心に、実際の株式で人気のある銘柄についても考えていきます。
業績相場とは?
金融政策の影響でお金が世の中に多く出回るので、設備投資や商品開発を積極的におこない企業の業績が向上している時期を業績相場といいます。
業績相場の株価動向と政策
金融緩和による影響で景気の回復や業績の上昇が期待できる時期が本格化した状態が業績相場です。
業績相場になると金利と株価が上昇傾向になります。
:業績相場のとき
株価 | ↑ |
金利 | ↓ |
業績相場で人気のある業種とは?
業績相場のときに人気のある業種や銘柄は、バリュー銘柄に人気が集まります。
バリュー銘柄とは好業績銘柄のことを言い、実績のある安定した業種や景気変動にあまり左右されない需要がある業種が挙げられます。
以下に代表的な業種をいくつか挙げてみます。
- 食品・飲料業界:
常に需要がある食品・飲料業界は、景気変動にあまり左右されず、安定的な業績を維持しやすい傾向があります。 - 医療・介護業界:
高齢化社会に伴い、医療や介護に関する需要が増えており、安定した需要が期待できます。 - 家電・電子機器業界:
普及している家電製品や電子機器などは、需要が一定程度あり、安定した業績が期待できます。 - 不動産業界:
不動産は、賃貸や売買などの需要があるため、比較的景気変動に影響されにくい業種です。 - 自動車業界:
需要が変動しやすい業界ではありますが、メーカーによっては長年の実績やブランド力によって安定した収益を上げているため、バリュー銘柄として評価されることがあります。 - 銀行業界:
金利の低下や景気の悪化などで収益が減少しやすいため、業績が安定している銀行はバリュー銘柄として評価されることがあります。 - 電力・ガス業界:
需要が安定しており、比較的安定した利益を出しやすい業界であるため、バリュー銘柄として評価されることがあります。
業績相場のときには好業績の企業や業種をはじめ、新興株や割安株の人気が高まると同時にIPO株への期待も高くなります。
IPO株取引は株式初心者にはオススメできない投資方法ですが、
経験を積んだ後である程度資産にゆとりができれば余剰金でチャレンジしてみると大きな収益につながることもあります。
【逆金融相場とは?逆金融相場の基本知識と株式状況】
株式相場にある4つの相場サイクルのひとつ逆金融相場について説明します。
「逆金融相場」の基本を中心に、実際の株式で人気のある銘柄についても考えていきます。
逆金融相場とは?
逆金融相場は景気や企業の業績が好調を維持している状態で、金利の上昇に対して株価が下落していくことが予想される相場になります。
また、金利上昇で、景気が悪化し企業業績が低迷することが予想されるため、投資家たちはリスク回避のために、
安定した業績を持つ企業や需要が比較的安定している業種に人気が集まる傾向があります。
つまり、景気後退時にはバリュー銘柄(好業績銘柄)に投資する傾向が強くなります。
逆金融相場の株価動向と政策
景気が良くなることは一見メリットが大きいようですが、インフレが強くなるという見方もできます。
中央銀行は金利を引き締めるので金利を上げます。
<逆金融相場のとき>
株価 | ↓ |
金利 | ↑ |
逆金融相場で人気のある業種とは?
逆金融相場の状態は株価が下がる傾向にあるので、グロース銘柄よりも安定の見込める企業の株に人気が集まります。
景気敏感な業種よりも企業の業績が安定している銘柄がねらい目です。
業績が安定している企業は、借金が少ない企業や自社株率が高い企業が該当します。
基本的にバランスシートの状態が良い企業が大前提になります。
以下に代表的な業種をいくつか挙げてみます。
- 生活必需品である食品や日用品、医薬品は、景気変動に比較的影響を受けにくく、需要が安定しているため、逆金融相場においても比較的安定した業績を維持しやすい傾向があります。
- 需要が低迷しやすい自動車や建設などの景気敏感な業種が不振となり、一方で安定した需要が期待できる金属や鉱業の業種が注目される傾向があります。
- 通信業界の通信サービスは、生活必需品であるため、需要が減少することは少なく、安定した業績を持つ企業に投資家の関心が高まる傾向があります。
【逆業績相場とは?逆業績相場の基本知識と株式状況】
株式相場にある4つの相場サイクルのひとつ逆業績相場について説明します。
逆業績相場の基本を中心に、実際の株式で人気のある銘柄についても考えていきます。
逆業績相場とは?
金融の引き締めにより、企業の業績が不安定になることで株価が下落傾向になります。
この状態のことを逆業績相場といいます。
好業績を上げていた成長株やテクノロジー企業などのグロース銘柄は、投資家たちの期待に応えることができず、株価が下落する傾向があります。
一方で、安定的な業績を維持しているバリュー銘柄には、安定的な株価動向が期待されます。
逆業績相場の株価動向と政策
逆業績相場のときは金利と株価がともに低下するので、景気そのものが悪化することが多くなっています。
株式市場も調整よりも完全な下落相場として考えられています。
<逆業績相場のとき>
株価 | ↓ |
金利 | ↓ |
逆業績相場で人気のある業種とは?
逆業績相場のときは全体的に不景気ですが、このようなときに強いのがディフェンシブ銘柄になります。
「電気・ガス」
「鉄道」
「医薬品」
「食料品」
の下落率が低くなるといわれています。
株式市場の世界では上記4つの業種をディフェンシブセクターと呼んでいます。
・電力会社やガス会社は、需要が減少しても需要がゼロになることはないため、比較的安定した業績を維持しやすい傾向があります。
※東京ガス、関西電力、中部電力など
・鉄道会社は、需要が減少しても交通手段としての需要があるため、比較的安定した業績を維持しやすい傾向があります。
※JR東日本、JR西日本、東京メトロなど
・医薬品会社は、人々の健康に関する需要は変わらず、比較的安定した業績を維持しやすい傾向があります。
※アステラス製薬、大塚ホールディングスなど
食料品会社は、消費者は生活必需品である食品を購入する必要があるため、比較的安定した業績を維持しやすい傾向があります。
景気の悪いときに備えて事前に購入をしておくのもひとつの考え方です。
【株式投資と資産運用の基本!】
株式市場に存在する4つの相場を理解することは株式投資をするときに必要な知識ですが、株式投資には忘れてはいけない基本ルールが存在します。
ここでは、株式投資と資産運用の基本について説明していきます。
株式投資に夢中になって、基本ルールを忘れないようにしてください。
「長期分散投資」でリスクを最大限に回避!
株式投資で収益をあげるには、株価の上昇による差額収益をはじめ配当金や株主優待が一般的です。
株価の上昇を狙う運用がもっとも大きな利益を上げられる可能性がありますが、リスクという意味でももっとも高いと考えられています。
資産運用の方法にもそれぞれの考え方があるので否定はしませんが、ここではあくまでも長期分散投資を推奨しています。
「投資信託」も「株式投資」も基本的に長期分散投資が基本です。
確かに急成長を見込む運用方法も魅力的ですが、主力は長期保有を中心に配当金と株価上昇を期待することをオススメします。
個別株の場合は銘柄選びが重要になりますが、今回の4つのサイクルの時期や特徴を参考にすると効率が良くなることが期待できます。
株式投資をするならネット証券がオススメ!
株式投資をするときは、証券会社に口座を開設する必要があります。
窓口を利用することを否定はしませんが、総合的に考えてネット証券の利用をオススメします。
株式投資や投資信託で効率よく運用するには、様々な手数料を意識する必要があります。
一般的に窓口よりもネット証券の方が、手数料を抑えているので長期的に考えると大きな差になることが予想できます。
ネット証券の開設方法に不安がある人も多いと思いますが、各証券会社やネット情報でも詳しく開設方法を説明しているので安心して取り組むことができます。
株式初心者はミニ株がオススメ!
投資信託が初心者にオススメな理由は、少額から運用をできるところです。
個別株だとまとまった費用が必要ですし、難しいというイメージも多いのではないでしょうか?
通常の個別株は100株単位で購入することになるので、ある程度まとまった資金が必要になりますが、1株単位から購入できるシステムを導入している証券会社もあります。
ネット証券のなかでもSBI証券の「S株」や2023年春スタートする楽天証券の「かぶミニ」などがオススメです。
他の証券会社でも単元未満株は購入できますが、現状ではSBI証券と楽天証券が使いやすいといわれています。
【まとめ】
今回は、4つの相場サイクル「金融相場」「業績相場」「逆金融相場」「逆業績相場」について説明をしました。
株式投資をするのであれば、株価や景気の動向にも注目する必要があります。
相場サイクルは株式売買のタイミングを決める指標になることに間違いはありませんが、他の指標や総合的に自分の購入したい銘柄を購入することをオススメします。