知らないと損!遺族年金は“繰り下げ前の金額”で計算されるって本当?

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「年金、繰り下げたほうが得だよ」と言われたこと、ありませんか?

たしかに長生きすればお得になりますが、

そのまま信じてしまうと“遺族年金”で大きな落とし穴にはまることもあります。

実は、遺族年金は“繰り下げ前の金額”で計算されるんです。

「そんなの聞いてない!」と後悔しないために、

実際のケースをもとにわかりやすく整理しました。

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 年金には「自分の年金」と「遺族年金」がある

まず最初に整理しておきたいのは、年金の2本柱です。

種類 内容
 老齢年金 自分がもらう年金
(老齢基礎年金+老齢厚生年金)
 遺族年金 配偶者が亡くなったときにもらう年金
(遺族基礎年金+遺族厚生年金)

今回の話に関係するのは「遺族厚生年金」

これは、会社員だった夫(または妻)が亡くなったときに、

その**厚生年金の一部(おおむね4分の3)**を遺族が受け取れる制度です。

「繰り下げ受給」とは?

老齢年金(自分の年金)は、原則65歳から受け取れます。

でも、あえて受け取りを遅らせると、1カ月ごとに0.7%増額される仕組みがあります。

これが「繰り下げ受給」です。

開始年齢 増加率 月20万円の場合
66歳 +8.4% 約21.7万円
68歳 +25.2% 約25万円
70歳 +42% 約28.4万円
71歳 +50.4% 約30万円

たしかに、長生きすればお得に見えます。

でも──途中で亡くなった場合は話が違います。

69歳女性のケースに学ぶ「想定外の現実」

69歳の女性が、夫の遺族年金の手続きで年金事務所を訪れました。

  • 夫は71歳で亡くなり、繰り下げ中(まだ受け取っていなかった)

  • 65歳時点なら月15万円の年金がもらえるはずだった

  • 71歳まで繰り下げれば1.5倍=約22.5万円になると思っていた

  • 遺族年金はその4分の3で17万円くらいのはず!

ところが、実際の支給額は──

たったの月6万円。

 なぜそんなに少ないの?

理由はとてもシンプルです。

遺族年金は「繰り下げ前(=65歳時点)」の金額を基準に計算されるから。

つまり、繰り下げで増える分(50%増)は、

本人が長生きして受け取るための増額分であり、

遺族がもらう金額には反映されないのです。

例えば、

  • 夫の65歳時点の年金:15万円(うち厚生年金9万円)

  • 遺族厚生年金:9万円×3/4=約6万7千円

これが支給される実際の金額です。

妻にも老齢厚生年金がある場合は「差額支給」

ここでさらにややこしいのが「併給調整」という仕組みです。

妻が自分でも厚生年金をもらっている場合、

遺族厚生年金と老齢厚生年金は両方満額ではもらえません。

具体例

内容 金額
妻の老齢厚生年金 5万円
夫の遺族厚生年金 6万円
実際の支給 (6万−5万)=1万円
(差額分のみ)

つまり、妻は

  • 自分の老齢厚生年金5万円

  • 遺族厚生年金1万円

    の合計6万円を受け取ることになります。

👉「1万円しかもらえない」というのは、“遺族厚生年金の上乗せ分”が1万円という意味です。

妻の年金が減るわけではありません。

専業主婦と共働きではどう違う?

実際の受給額を、モデルケースで比較してみましょう。

妻のタイプ 老齢基礎年金 老齢厚生
年金
遺族厚生
年金
合計
(月額目安)
専業主婦 約7万円 0 約6万円 約13万円
共働き
(厚生5万円)
約7万円 約5万円 約1万円 約13万円
共働き
(厚生8万円)
約7万円 約8万円 0円 約15万円

結果を見ると、

専業主婦でも共働きでも合計額はほぼ同じです。

ただし、妻が厚生年金を持っている方が生涯安定します。

なぜなら、遺族年金は夫の死後しか発生しませんが、

自分の老齢厚生年金は自分が生きている限り確実にもらえるからです。

遺族厚生年金はいつから・いつまで?

項目 内容
支給開始 夫が亡くなった翌月分から
振込 偶数月(2・4・6・8・10・12月)に2か月分まとめて
支給期間 妻が亡くなるまで(終身)
再婚時 その時点で支給停止
未請求 5年経過で時効・受け取れなくなる

年金の本質は「長生き保険」

繰り下げ受給は、得か損かというよりも、

“長生きリスク”に備えるための保険です。

  • 長生きすれば繰り下げが得

  • 早く亡くなれば早め受給が得

  • 遺族年金は増額されない

つまり、「どちらが得か」ではなく、

「自分と配偶者、どちらが長く生きるか」を見据えて選ぶことが大切です。

理解しておけば怖くない

ポイント 内容
遺族年金は繰り下げ前の金額で計算される 増額分は反映されない
妻に厚生年金があると差額支給 両方満額はもらえない
支給は夫の死亡翌月から終身 再婚・未請求には注意
自分の年金を持つ方が安定 共働きの方が将来安心

ひとこと

年金制度は本当に複雑です。

国の説明を聞いても、半分も理解できないという人が多いのも当然です。

でも、知らないまま損をするのがいちばん怖い。

理解しておけば、「もらえないはずだったお金」を取り逃がすことも防げます。

これから年金を受け取る世代こそ、

「自分と配偶者、それぞれの年金がどう絡むのか」を早めに確認しておきましょう。

理解して困ることはありません。

困るのは──理解せずに老後を迎えることです。

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