仕事をリタイアした後は主に年金と貯金で生活していくことになります。
収入が少なくなっても、できるだけ生活水準を落とさずに暮らしたいものです
今回は老後も生活水準を保つためには、いくら位の貯蓄が必要なのかを説明していきます。
この記事を読んで年代ごとにかかるお金を把握して、無理なく将来に備えられるようにしましょう。
【今現在の生活水準を老後も維持するためにはどれだけ貯蓄が必要?】
「老後も安心して暮らすには、貯蓄が2000万円必要だ」といわれています。
実際にどの程度貯蓄額が必要なのかは、現在の生活水準によって個人差があると思います。
ここでは、老後に必要なお金はどの位になるのかを具体的に説明していきます。
リアルな金額を理解して、将来を明確に考えることが可能になります。
老後に必要なお金はどの位なのか?
高齢者世帯は、夫婦世帯と単身世帯にわかれます。世帯構成や生活環境によって老後に必要なお金は変わってくるはずです。
総務省が2017年に公表した「家計調査年報」によると「世帯主が60歳以上無職で2人以上の世帯」の消費支出は月に23.8万円といわれています。「60歳以上で無職の単身世帯」の消費支出は月に約14.2万円です。
世帯主 | 月額:消費支出 |
60歳以上無職2人世帯 | 23.8万円 |
60歳以上以上無職単身 | 14.2万円 |
この統計は「世帯主が60歳以上無職で世帯員が2人以上いる世帯」の住居費は、約1.4万円で「60歳以上で無職の単身世帯」の住居費は約1.5万円になっています。
この数値は持ち家を想定していることが考えられます。従って、賃貸だと住居費は高くなるので夫婦世帯は約35万円、単身世帯は約20万円で計算するのが妥当です。
世帯主 | 月額:消費支出 |
60歳以上無職2人世帯 | 35万円 |
60歳以上以上無職単身 | 20万円 |
老後にかかる費用を考えるときには、老後の期間がどの位になるかを考えることも必要になります。例えば65歳で定年を迎えて90歳まで生きる場合は、老後は25年間です。
夫婦世帯で月に約35万円使う場合、90歳までにかかる費用は約10,500万円です。
単身世帯で月に約20万円使う場合は、90歳までにかかる費用は約6,000万円になります。
世帯主 |
月額:消費支出 |
老後25年間 (65歳~90際) |
総額支出 |
60歳以上無職2人世帯 | 35万円 | 300カ月 | 1億500万円 |
60歳以上以上無職単身 | 20万円 | 6,000万円 |
老後はお金が足りなくなる?
近年「老後破産」に陥る高齢者が増えています。「老後破産」に陥る方の多くは、決してこれまでに贅沢をしていた方とは限りません。
現役時代はある程度収入があって、さほど贅沢をしていない人が殆どです。多くは65歳を過ぎて、定年を迎えるとこれまでの生活水準をたもつことが難しくなってきます。
老後の生活が苦しくなるのは、収支バランスの悪化が原因です。一般的に老後は、収入が大きく減少する傾向にあります。
総務省が2017年に公表した「家計調査年報」を基に老後に収支バランスの悪化を示したのが公益財団法人 日本生命文化センターです。
「世帯主が60歳以上の無職で世帯員が2人以上いる世帯」と「60歳以上で無職の単身世帯」の収支バランスを公表しています。
「世帯主が60歳以上の無職で世帯員が2人以上いる世帯」の※可処分所得は約17.7万円です。収入に対して消費支出は、約23.8万円になるといわれています。
※可処分所得・・・実収入から税金や社会保証料を引いた額
「60歳以上で無職の単身世帯」の可処分所得は、約10.1万円です。収入に対する消費支出は、約14.2万円なので毎月約4万円の赤字になります。
世帯主 | 可処分所得 | 月額消費 | 毎月の不足金 |
60歳以上無職2人世帯 | 17.7万円 | 23.8万円 | 約6万円 |
60歳以上以上無職単身 | 10.1万円 | 14.2万円 | 約4万円 |
今後は、公的年金等の実収入の金額は、更に減少する危険性があります。
老後も生活水準を維持するためには、貯蓄が必要不可欠になります。
今現在の生活水準を保つためにはどれだけ貯蓄が必要?
年金の支給額は、今後も同額とは決まっていません。今後は、年金の支給額が更に減少することが予想されています。
収入が減少したときの対応策は、支出の見直しか収入の増加が基本です。
今現在の生活水準を保つためには、収入の不足分を貯蓄で補うことがポイントになります。
夫婦世帯で月に約35万円使うと90歳までにかかる費用は、約10,500万円です。
仮に夫婦が共に30歳で貯蓄0円だと月に約25万円の貯金が必要になります。
単身世帯で月に約20万円使う場合は、90歳までに約6,000万円必要になります。
現在30歳で貯蓄0円だと月に約20万円の貯金が必要です。
世帯主 | 年齢 | 老後25年間 (65歳~90際) |
必要金額 | 貯蓄 | 月額貯金 |
夫婦世帯 | 30歳 | 300カ月 | 1億500万円 | 0円 | 25万円 |
単身世帯 | 30歳 | 6,000万円 | 20万円 |
必要な貯蓄の量は、世帯構成や生活環境によって異なります。都心は郊外に比べて物価や地価が高く多くのお金を必要とするのが主な理由です。
※この数値はあくまでも年金が支給されない場合を想定しています。年金額を考慮すると別途計算をする必要があります。
【現状の生活費の把握からわかる老後に必要な生活費!】
老後も現在と同じ生活水準を保つためには、多くのお金が必要になります。老後に備えるために無理な貯蓄をしても長続きしない危険性が高いのでオススメできません。
老後に必要な生活費を把握するには、現状の生活費を把握することから始めます。無理をせずに将来の備えを蓄えるには、ライフステージを把握することが大切です。
今の生活費を把握しよう
現在の生活水準を老後も維持したいと考えるのであれば、今の生活費を把握することが重要です。現時点の生活費を理解することで今後の計画も立てやすくなります。
例えば、都市と郊外ではお金をかける内容が異なることが予想できます。車を必要とする環境であれば、自動車の維持費やガソリン代を考慮する必要があります。
単純に住んでいる地域によって物価なども大きく異なります。総務省が2017年に公表した「家計調査年報」によると沖縄県の消費支出額が22.9万円に対し、関東首都圏地域では、約33.2万円となっていました。
また、家族構成や内訳によって生活費は大きく異なります。子どもがいる家庭だと食費はもちろん教育費も必要です。
結婚の有無も貯蓄や生活費に違いがあります。住んでいる環境や世帯構成によって、生活水準を維持できる費用も変わってきます。
老後に向けて対策を考えるときは、まず現在の生活費を把握することが必要です。できるだけ出費内容を把握すると今後の計画や節約に役立つことになります。
自分たちに合った資金計画を立ててみよう
仕事を退職した後は収入が減少する可能性が高いので、今の生活水準を保つには、ある程度貯金をしておく必要があります。将来どの程度のお金が必要なのかを具体的に考えることが大切です。
生活の大きな割合を占める社会保障費や税金は、時代によって変わります。「子育て」「定年」など決まったライフイベントに注目して資金計画を立てることが重要になります。
20代は、収入に対して住宅費の占める割合が高くなる傾向があります。結婚・出産・マイホームの購入など今後の人生に関わる支出も多いので日頃から貯金をすることが大切です。
賃貸住宅の住宅費は、手取り収入の30%程度までに納めることをオススメします。また、生命保険などの将来に関する資産運用も無理のない範囲が理想になります。
個人差はありますが、30代でも結婚・出産・マイホームの購入などに費用がかかる時期です。子どもがいる場合は、子どもにかかる様々な費用も計算しなければなりません。
食費・教育費・娯楽費などは、子どもの成長と共に増加していきます。一般的に40代~50代の間がピークになるので、住宅ローンなどは支払い方法などを含め見直すことも検討することになります。
子どもの教育費は、受験や入学をはじめ公立と私立によって大きくかかる費用が異なります。早い段階から費用の計算をしておくことが重要になります。
子どもの成長と共に考えていくのが老後の生活設計です。一番重要なことは、老後どのように過したいかということになります。
必要最低限の範囲を想定した資産計画と財産を多く残したいという資産計画では、全く変わってしまいます。
子育てや老後の生活は、平均で計算をしていくよりも実際にいくつかのパターンを想定して考えることをオススメします。
定期的に資金計画を見直そう
老後に向けて無理なく貯金をしていくには、資金計画を立てることが大切です。自分の年齢に応じた必要費用を把握すれば、貯蓄にまわせる金額も計算できるようになります。
資金計画は、1回立てたら終了というものではありません。生活環境の変化や収入によってその都度、収支バランスが変化します。
資金計画は、個々のライフステージの節目で見直していくことが重要です。様々なパターンを想定して無理のない貯蓄ができるようにすることをオススメします。
【まとめ】
今回は老後の生活に必要な費用について説明をしました。老後も生活水準を可能な限り維持するには、資金計画を立てることがポイントになります。
資金計画は、1回立てて終了ではありません。人生の節目ごとに様々なパターンを想定して考える必要があります。
資金計画の相談は、必要に応じて専門家のFP(ファイナンシャルプランナー)に相談するのもひとつの考え方です。