「なんとかなる」時代を生きて
スーパーで半額シールが貼られた商品を探すのが、73歳のAさんの日課。
年金暮らしで節約しながらも、ささやかな楽しみを見つけて生きています。
そんな彼女が口にした言葉は――
「若いときに、もっと働いておけばよかった。」
Aさんの夫は都内の中堅企業に勤め、バブル期には年収800万円を超える時期もありました。
夫の収入だけで十分生活でき、Aさんは専業主婦として家庭を支えてきました。
「ハワイやグアムに家族で旅行するのが当たり前だった。
周りもみんなそうだったから、贅沢だとは思わなかったんです。」
しかし、バブル崩壊で状況は一変。夫の賞与が激減し、Aさんもパートで働くことに。
教育費と住宅ローンの返済に追われながらも、「老後のことは、なんとかなる」と思っていたそうです。
夫の死で突きつけられた“現実”
定年後まもなく、夫はガンを患い急逝。
その後、Aさんのもとに残ったのは月13万円の年金収入だけでした。
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遺族年金:月8万円ほど
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自身の国民年金:月5万円弱
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退職金は住宅ローン返済で消失
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貯蓄:約700万円
「若い頃、国民年金の加入が任意だった時期に“まだいいや”と思って払わなかった。
あの数千円が、今の安心につながっていたかもしれない。」
今は、半額シールのスイーツを買って「ちょっと贅沢」と笑うAさん。
けれど、その笑顔の奥には“取り戻せない時間”への後悔が滲みます。
年金13万円は「少ない」?それとも「恵まれている」?
記事への読者コメントでも議論が分かれました。
「遺族年金と基礎年金で13万円なら恵まれている」
「家があるだけでもまし」
「今の40代・50代はもっと厳しくなる」
たしかに、現行の年金制度では、厚生年金の平均受給額は約14万円台。
Aさんのように持ち家があり、借金もないなら「やりくり次第」という意見も理解できます。
しかし、現実には――
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医療費・介護費・固定資産税
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食料品や光熱費の値上げ
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一人暮らしによる生活コストの高さ
これらを考えると、月13万円でも“余裕のない暮らし”になるのは自然なことです。
「老後の不安」は、若い頃の選択から始まっている
今を生きる40代・50代が、この記事から学べることは大きいです。
老後資金は、**“時間を味方にできるかどうか”**で大きく差が出ます。
Aさんのように「まだ先の話」と先送りすれば、気づいた時には取り返せません。
今からでも遅くありません。
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NISAやiDeCoで積立を始める
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スキルアップして働く期間を延ばす
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固定費を見直して投資に回す
小さな行動が、将来の安心につながります。
「幸福度」はお金だけで決まらない
最後に印象的だった読者コメントを紹介します。
「昔には戻れない。今の環境下でどう生き抜いて楽しむかだと思う。」
「国はNISAなどヒントを与えてくれている。賢く使う人はごくわずか。」
お金がすべてではありません。
大切なのは、自分らしく生きる工夫を続けること。
健康・趣味・人とのつながりも立派な“老後資産”です。
まとめ:後悔しない老後のために
Aさんの言葉には、時代を超えた教訓があります。
「若いころは、老後なんて遠い未来の話にしか思えなかった。
でも気づいたときにはもう、時間も体力も戻らない。」
“老後の安心”は、気づいた瞬間からの行動で変えられます。
働く・学ぶ・備える――その一歩が、10年後の自分を救うのです。
ひとこと
この記事を読んで感じたのは、
「今を楽しみながら、未来も備えるバランス」の大切さです。
昔のように“働けば報われる”時代ではありません。
けれど、知識を得て、行動するチャンスは誰にでもあります。
今からでも遅くない。
“未来の自分”のために、今日の一歩を大切にしたいですね。