第一部:ある60歳男性のストーリー
「地獄です……」
山田一郎さん(仮名・60歳)は、力なくそう呟きました。
昨年、大手メーカーを定年退職。
受け取った退職金は 2,500万円。
「これから妻と旅行でも」と夢を語り合った矢先、SNS広告にこう書かれていました。
「有名投資家X氏が直接指導!資産を10倍にします」
憧れの投資家から直接指導が受けられるという触れ込みに、疑うことなくLINE登録。
最初は半信半疑でしたが、80万円を試しに振り込むと、10分後に10万円の利益が出たのです。しかも、その利益は実際に出金できました。
「これは本物だ!」と確信し、退職金から2,000万円を投入。
すると画面の残高は 4,000万円 を超え、一気に資産倍増。
夢の億万長者まであと一歩――そう浮かれた矢先、出金を申し出ると「システム障害」と返答。その後、アカウントは削除され、口座も閲覧できなくなりました。
警察に相談すると、証券会社も口座もすべて偽物。犯人が捕まっても、お金が戻る可能性は限りなく低いとのことでした。
「老後がどうなるのか不安で眠れない。妻に申し訳なくて……」
退職金を狙った詐欺は、今や誰にでも起こり得る現実です。
第二部:解説と教訓
投資詐欺は急増している
警察庁によると、2025年7月末時点で投資詐欺の被害は前年を大幅に上回り、過去最悪を更新。
SNS型投資詐欺だけで 認知件数3,759件、被害額464.6億円 にのぼっています。
詐欺師がよく使うキーワードは次の通りです。
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「元本保証」
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「高利回り」
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「あなただけに」
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「限定公開」
これらを見たら即「危険サイン」と考えるべきです。
読者コメントから学ぶポイント
この記事に寄せられた意見から見える重要な教訓:
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投資は自己責任。まずは勉強を
基礎知識があれば、投資と詐欺の区別がつきやすい。 -
「大儲け話」は存在しない
本当に儲かるなら、他人には教えません。 -
投資と詐欺を混同しない
これは「投資の失敗」ではなく「最初から詐欺」。 -
家族や第三者に必ず相談を
大金の判断を独断でせず、冷静な意見を取り入れること。 -
金融リテラシーを若いうちから
早くから金融に触れていれば、違和感を覚えやすい。
自分を守るための心得
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「うまい話はない」と徹底して心に刻む
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投資は必ず 大手証券会社の公式口座 で行う
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SNS広告やLINE誘導は 即ブロック
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不審を感じたら 家族・金融庁・警察に相談
まとめ
退職金は人生の努力の結晶であり、老後を支える大切な資産です。
しかし、そこを狙う詐欺師は巧妙な手口で近づいてきます。
「自分は大丈夫」と思っている人ほど危険です。
この記事を読んだ方が、少しでも注意を払ってくれることを願います。
<補足>
本記事のストーリーは創作ですが、実際に同様の投資詐欺は多発しています。
「うまい話はない」という鉄則を忘れずに、大切なお金を守ってください。