2023年3月6日のネットニュースでこんな記事がありました。
日本株の累進配当銘柄(減配せずに少なくとも前年と同額を配当し業績成長に合わせて増配を続ける銘柄)は堅調な動きをしています。この記事では、日本株の累進配当銘柄を7社ご紹介します。
累進配当銘柄を探すときには、配当利回りや連続増配年数、増配率だけを見てはいけません。それを可能とする裏付けがあるかを確認しましょう。つまり、無理な配当を実施していないかの確認です。累進配当銘柄に限らず、高配当銘柄や増配銘柄を選択する際は、次の点に注意してください。
「累進配当銘柄」とは、配当金の増配率が高い銘柄を指します。これらの銘柄は、減配のリスクが低く、業績が好調であることが多いため、長期保有に適しているとされています。
しかしながら、3月の配当権利日を控えている場合、配当金を受け取るために株主としての条件を満たしている必要があります。このため、配当権利日を過ぎると、配当金を受け取れなくなります。
そのため、配当金を受け取るために株を保有していた投資家が、配当金を受け取った後に株を売却することが多くなります。
この売却圧力によって、株価が下落する可能性があります。
ただし、このような現象は一時的なものであり、配当落ち後に株価が下落することがあっても、長期的に見れば、累進配当銘柄は配当金を増やし、株価も上昇することが期待されます。したがって、株価が下落した場合でも、長期的な視点で投資することが大切です。
<銘柄選択時の注意点>
市場規模が拡大している業種は、業績が好調であることが期待されます。
(2)大型株、業界1~2位、もしくはオンリーワン企業
市場での競争力が高く、収益性が安定していることが期待されます。
(3)増収増益
増収増益傾向にある企業は、収益性が高く、将来的な株価上昇や配当金増加が期待されます。
(4)5年チャートが右肩上がり、もしくはボックス相場
過去5年間の株価チャートが右肩上がりであるか、もしくはボックス相場で推移している銘柄は、収益性が高く、安定した業績が期待できると考えられます。
(5)配当性向
配当性向が概ね50%以下の銘柄は、配当金を積極的に還元している企業であることが期待できます。
(6)連続増配年数、増配率、減配の過去がないか
連続増配年数が長く、増配率が高く、減配の過去がない銘柄は、配当金を安定的に増やしている企業であることが期待できます。
(7)増資の過去がないか
過去に多額の増資を行った銘柄は、株価が下落する可能性があります。
(8)PER推移
PER(株価収益率)が安定している銘柄は、投資家からの人気が高く、株価が安定する傾向にあります。
(9)自社株買いの推移
自社株買いを実施することで、自社株を取り除くことができ、株価の上昇につながる可能性があります。
(10)自己資本比率
自己資本比率40~50%以上が目安。自己資本比率が高い銘柄は、自己資本力が強く、将来的な経営リスクを回避するための余裕があるとされています。
(11)ROEが高いか
ROEが高い企業は、収益性が高く、効率的に資本を運用していると考えられます。2桁あれば優良、8%あれば合格ライン。
(12)不祥事の過去がないか
(13)後継者問題がないか
以上13個で満点の銘柄は無いので総合的に判断して自分が納得できる銘柄を購入することです。
ただ、3月は、「配当権利日」を控えているので、配当落ち後にずるずると値を下げる可能性があります。
今回は配当落ち前と配当落ち後の株価の動きをリサーチしてみます。
現:2023.3.28
銘柄 | 株価 | PER | PBR |
自己資本 |
ROE | 配当 利回り |
オリックス | 2,168円 | 10.2 | 0.78 | 22.4 | 7.68 | 3.95 |
三菱HCキャピタル | 686円 | 9.0 | 0.64 | 7.13 | 13.9 | 4.52 |
東京海上HD | 2,550円 | 13.7 | 1.36 | 13.0 | 9.94 | 3.92 |
NTT | 3,998円 | 11.5 | 1.62 | 33.5 | 14.12 | 3.00 |
KDDI | 4,120円 | 12.9 | 1.78 | 3.28 | 13.76 | 3.28 |
三菱商事 | 4,673円 | 5.8 | 0.85 | 35.1 | 14.51 | 3.85 |
伊藤忠商事 | 4,239円 | 7.7 | 1.30 | 34.8 | 16.91 | 3.30 |
上記の7銘柄が、権利落ち日以降どんな株価推移になるか楽しみです。
見守りたいと思います。
どちらにしろ、累進配当銘柄を長期保有すれば、配当落ち後に株価が下落することがあっても、長期的に見れば、累進配当銘柄は配当金を増やし、株価も上昇することが期待されます。
したがって、株価が下落した場合でも、長期的な視点で投資することが大切です。
記事の中でもありましたが、配当金があることは心の支えになるのは、同感です。
7銘柄の特徴や事業内容
オリックス(8591)
業種:その他金融業
時価総額:2兆6,889億円
PER:10.2倍
PBR:0.78倍
利回り:3.93%
EPS:213.1
配当金/株:85.6円
配当性向:40%
自己資本比率:22.4
ROE:7.68
オリックスは、日本株の累進配当銘柄の中でも市場規模が拡大している銘柄の一つとされています。
オリックスは、金融、リース・レンタル、不動産、投資、スポーツ事業など幅広い事業分野に展開しており、多角化されたビジネスモデルを持っています。
特に、金融事業においては、独自のネットワークを活かし、世界中で事業を展開しており、グローバルな視野を持っていることが期待されます。
また、近年は、インフラ事業や再生可能エネルギー事業など、社会インフラへの投資も積極的に行っており、長期的な視野での成長が期待されています。
また、オリックスは累進配当銘柄としても知られており、増配の実績があり、配当性向も比較的高い水準にあります。
さらに、オリックスは、連結自己資本比率が高く、財務体質が強いことも魅力の一つです。
三菱HCキャピタル(8593)
業種:その他金融業
時価総額:1兆78億円
PER:9.0倍
PBR:0.64倍
利回り:4.51%
EPS:76.1
配当金/株:31円
配当性向:40%
自己資本比率:13.9
ROE:7.13
三菱HCキャピタルは、日本株の累進配当銘柄の一つであり、金融・保険業界の中でも市場規模が拡大している銘柄の一つとされています。
同社は、三菱UFJフィナンシャル・グループの中核企業であり、投資銀行、証券、アセットマネジメント、リースなど、金融業務を幅広く展開しています。
特に、M&Aアドバイザリーなどの事業を中心に、国内外の企業の経営戦略に関わることが多く、高い専門性やノウハウが求められる事業分野において、強みを持っているとされています。
また、三菱HCキャピタルは、累進配当銘柄としても知られており、増配の実績があり、配当性向も比較的高い水準にあります。さらに、同社は連結自己資本比率が高く、財務体質が強いことも魅力の一つです。
東京海上HD(8766)
業種:保険業
時価総額:5兆2,000億円
PER:13.7倍
PBR:1.36倍
利回り:3.92%
EPS:185.8
配当金/株:200円
配当性向:107%
自己資本比率:13.0
ROE:9.94
東京海上ホールディングは、日本株の累進配当銘柄の一つであり、保険業界の中でも市場規模が拡大している銘柄の一つとされています。
同社は、東京海上グループの中核企業であり、損害保険事業や生命保険事業、リース事業などを手掛けています。
特に、東京海上日動火災保険や東京海上日動あんしん生命保険など、個人向けの保険商品に強みを持っています。
東京海上ホールディングは、累進配当銘柄としても知られており、増配の実績があり、配当性向も比較的高い水準にあります。
さらに、同社は財務体質が強く、自己資本比率も高いことが魅力の一つです。
ただし、保険業界は低金利や自然災害など、さまざまなリスクが伴います。また、東京海上ホールディングは、競合が激しく、新たな保険商品の開発や既存商品の改良など、常にイノベーションを求められるビジネスに従事しています。
NTT:日本電信電話(9432)
業種:情報・通信業
時価総額:14兆4,844億円
PER:11.5倍
PBR:1.62倍
利回り:3.00%
EPS:349
配当金/株:120円
配当性向:34%
自己資本比率:33.5
ROE:14.12
NTTは、通信・情報技術分野において長年にわたってトップシェアを誇る大手企業であり、日本株の代表的な累進配当銘柄の一つです。
日本を代表する通信事業者として、主に固定電話・携帯電話・インターネット回線などの通信サービスを提供しています。
また、グループ会社を通じてシステムインテグレーションやクラウドサービスなどの情報技術関連サービスも展開しています。
NTTは、業績が安定しており、過去10年間の平均配当性向は約50%程度であり、増配傾向にあります。
また、2019年度からは、株主還元策の一環として自己株式の取得や株式配当の増額を行っています。
加えて、日本株の中でも時価総額が非常に大きく、高い流動性を誇ることから、安定した長期保有に適した銘柄とされています。
KDDI(9433)
業種:情報・通信業
時価総額:9兆5,217億円
PER:13.0倍
PBR:1.78倍
利回り:3.26%
EPS:318.9
配当金/株:135円
配当性向:42%
自己資本比率:43
ROE:13.76
KDDIは、日本の通信事業者の一つであり、主に携帯電話事業やブロードバンド事業を展開しています。
KDDIは、日本株の代表的な累進配当銘柄の一つであり、以下のような期待がされています。
まず、KDDIは、業績が安定しており、過去10年間の平均配当性向は約50%程度であり、増配傾向にあります。
また、2019年度からは、株主還元策の一環として自己株式の取得や株式配当の増額を行っています。
さらに、KDDIは、通信事業を展開する上での基盤となる通信インフラや技術開発に力を入れており、高品質かつ高速な通信サービスを提供しています。
また、IoTや5Gなどの新技術にも積極的に取り組んでおり、今後の成長が期待されます。
加えて、KDDIは、日本の株式市場において、時価総額が非常に大きく、高い流動性を誇ることから、安定した長期保有に適した銘柄とされています。
三菱商事(8058)
業種:卸売業
時価総額:6兆8,843億円
PER:5.8倍
PBR:0.85倍
利回り:3.85%
EPS:800
配当金/株:180円
配当性向:22%
自己資本比率:35.1%
ROE:14.51
三菱商事は、多様な産業・ビジネスに展開し、グローバルな視野で事業を展開する総合商社です。
市場規模が拡大している業種にも進出しており、エネルギー、資源、食品、農業、建設、不動産、金融など、多岐にわたる事業を展開しています。
近年は、特に再生可能エネルギー分野に注力し、世界的に需要が高まっている水素やバッテリー分野にも積極的に取り組んでいます。
また、グローバルなネットワークを活かしたトレード事業や、投資事業、金融事業など、多角的なビジネス展開も行っています。
三菱商事は、累進配当銘柄であり、長期的な投資家からの人気も高い銘柄の1つです。
高い配当性向と業績の安定性、グローバルなビジネス展開が評価されており、今後も成長が期待されています。
伊藤忠商事(8001)
業種:卸売業
時価総額:6兆6,977億円
PER:7.7倍
PBR:1.30倍
利回り:3.31%
EPS:549.8
配当金/株:140円
配当性向:25%
自己資本比率:34.8%
ROE:16.91
伊藤忠商事は、多角化されたビジネスポートフォリオを有し、国内外の幅広い市場で活動しているトレーディング会社です。
同社の業績は、主に原材料やエネルギー、金属、機械、自動車、建設、住宅などの分野での取引によって支えられています。
また、同社は海外展開にも注力しており、アジア、中東、アフリカ、ヨーロッパ、北アメリカなどで多数の事業を展開しています。
伊藤忠商事は、累進配当銘柄の中でも特に配当性向が高く、安定的な配当性向が期待できる銘柄の一つです。
また、増収増益を維持しており、ROEや自己資本比率も高い水準を維持しています。
これらの要素から、長期的な投資家からの支持を受けていると言えます。
まとめ
「累進配当銘柄」は、配当金が年々増加することが期待できる銘柄です。
そのため、株式投資の中でも長期的な視野で投資を行い、安定的な配当収入を得たい投資家におすすめです。
また、株価の上下に左右されず、企業の業績が安定していることが前提条件となるため、投資初心者やリスクを抑えたい投資家にも適しています。
ただし、配当金には確実性があるわけではないため、投資家は企業の業績や財務状況を十分に調べ、慎重に投資判断を行うことが重要です。